コラム

遺品整理の費用は誰が払う?ケース別の負担者と4つの節約方法を解説

親族が亡くなり遺品整理が必要になったとき、「費用は誰が払うの?」という疑問は多くの方が抱える悩みです。相続人が複数いる場合の分担方法や、相続放棄をした場合の扱いなど、状況によって費用負担者は異なります。本記事では、遺品整理の費用を誰が支払うべきかをケース別に解説し、親族間でトラブルにならないための注意点や費用を抑える方法もご紹介します。

 
 

この記事でわかること

  • 遺品整理の費用負担者の基本原則
  • 相続人が複数いる場合の分担方法
  • 相続放棄をした場合の費用負担の有無
  • 遺品整理にかかる費用の相場
  • 費用を抑える具体的な4つの方法
  • 親族間のトラブルを防ぐポイント

監修者プロフィール

稲村 朗子

特定遺品整理士、遺品整理士、生前整理技能 Pro1級、不用品回収健全化指導員の資格を所有。

遺品整理の費用は誰が払う?基本となる考え方

遺品整理の費用は誰が払う?基本となる考え方

遺品整理の費用負担について理解するには、まず法律上の原則と相続の仕組みを知っておく必要があります。ここでは、費用を誰が負担すべきか、相続とどのような関係があるのか、そして故人の財産から支払う際の注意点について解説します。

相続人が負担するのが原則

遺品整理の費用は、法律上、原則として相続人が負担することになっています。相続人とは、故人の財産を引き継ぐ権利を持つ人のことで、配偶者や子供、両親、兄弟姉妹などが該当します。遺品整理は単なる片付け作業ではなく、故人が残した財産を管理する義務の一環として位置づけられているため、その財産を相続する人が費用を負担するのが基本的な考え方です。

相続人が複数いる場合は、原則として法定相続分に応じて費用を分担します。ただし、相続人同士の話し合いによって、一人が全額を負担したり、異なる割合で分担したりすることも可能です。大切なのは、相続人全員が納得できる形で費用負担の方法を決めることです。誰か一人が勝手に判断して支払いを進めてしまうと、後々トラブルの原因となりかねません。

遺品整理と相続の関係を理解する

遺品整理と相続は密接に結びついています。相続とは、故人が残した財産や権利、そして義務を引き継ぐことを意味します。プラスの財産である預貯金や不動産だけでなく、マイナスの財産である借金なども相続の対象となります。遺品整理の費用負担も、この相続に付随する義務の一つです。

故人が生前に遺言書を残しており、その中で遺品整理に関する指示がある場合は、基本的にその内容に従います。しかし、多くの場合は遺言書に具体的な指示がないため、相続人が協議して決める必要があります。相続財産の全体像を把握し、プラスの財産とマイナスの財産を比較検討したうえで、相続するかどうかを判断することが重要です。負債が多い場合は相続放棄という選択肢もありますが、この場合は遺品整理にも手を付けられなくなるため慎重な判断が求められます。

故人の財産から支払う際の注意点

遺品整理の費用を故人の財産から支払うことは可能ですが、いくつか注意すべき点があります。まず最も重要なのは、相続人全員の同意を得ることです。一部の相続人が独断で故人の預貯金から費用を引き出してしまうと、他の相続人から「勝手に遺産を使った」と見なされ、深刻なトラブルに発展する可能性があります。

故人の財産から支払う場合は、遺産分割協議が完了する前であっても、全員に事前に相談し、明確な合意を得ておくことが不可欠です。また、いくら支払ったのかを明確に記録し、見積書や領収書を必ず保管しておきましょう。これらの書類は、最終的な遺産分割の際に精算する根拠となるため、相続人全員で共有しておくと安心です。

なお、相続放棄を検討している場合は特に注意が必要です。故人の財産から遺品整理の費用を支払う行為は「相続する意思がある」と判断される可能性があり、後から相続放棄が認められなくなるリスクがあります。相続放棄を考えているのであれば、費用の支払いには一切手を付けず、まず家庭裁判所での手続きを優先させるべきです。

遺品整理の費用は誰が払う?ケース別の負担者

遺品整理の費用は誰が払う?ケース別の負担者

遺品整理の費用を誰が負担するかは、相続人の有無や連帯保証人の存在など、状況によって異なります。ここでは、代表的な4つのケースに分けて、それぞれの負担者について詳しく解説します。

相続人が複数いる場合の分担方法

相続人が複数いる場合、遺品整理の費用をどのように分担するかは、相続人同士の話し合いで決めることができます。最も一般的な方法は、民法で定められた法定相続分に応じて分担する方法です。たとえば、配偶者と子供2人が相続人の場合、配偶者が2分の1、子供それぞれが4分の1ずつ負担するという形になります。

ただし、法定相続分による分担は絶対的なルールではありません。相続人全員が合意すれば、均等に割り勘にすることも、特定の誰かが全額を負担することも可能です。実際の現場では、遺産分割協議が完了する前に誰かが一時的に費用を立て替え、後日相続人同士で精算するケースも多く見られます。大切なのは、相続人全員が納得できる形で分担方法を決め、その内容を書面やメールなどの形で記録しておくことです。

相続人がいないが連帯保証人がいる場合

故人に相続人がいない場合でも、故人が賃貸住宅に住んでいたケースでは連帯保証人が関係してきます。賃貸借契約において、大家や管理会社は部屋を原状回復する責任を連帯保証人に求めることがあり、その過程で遺品整理の費用を請求される可能性があります。

法的には、連帯保証人に遺品整理の費用を支払う直接的な義務はありません。しかし、賃貸借契約上の「原状回復義務」という形で、実質的に遺品整理の費用を負担せざるを得ない状況に置かれることが多いのが実情です。連帯保証人に該当する方は、まず賃貸借契約書を確認し、保証の範囲がどこまで及ぶのかを把握することが重要です。そのうえで、管理会社や大家と交渉し、どの部分まで負担する必要があるのかを明確にしましょう。

相続人も連帯保証人もいない場合

相続する人も連帯保証人も存在しない状況では、利害関係者からの申し立てにより家庭裁判所が「相続財産清算人」を選任します。利害関係者とは、故人にお金を貸していた債権者や、賃貸物件の大家などが該当します。相続財産清算人は、故人の財産を管理・清算する役割を担う専門家で、弁護士や司法書士などが選ばれることが一般的です。

相続財産清算人が選任されると、その人が故人の財産を調査し、必要に応じて売却などで現金化します。そして、その資金を使って遺品整理の費用や債務の支払いに充当します。もし故人の財産が全く残っておらず費用を賄えない場合は、最終的に自治体が「行政代執行」として公費で最低限の整理を行うことになります。ただし、行政による対応は必要最小限に留まるため、賃貸物件の場合は大家が最終的に負担を強いられる可能性もあります。

相続財産清算人が選任されるケース

相続財産清算人は、相続人が誰もいない場合や、全員が相続放棄をした場合に家庭裁判所によって選任されます。2023年の民法改正以前は「相続財産管理人」と呼ばれていましたが、現在は「相続財産清算人」という名称に変更されています。選任には利害関係者や検察官からの申し立てが必要で、選任手続きには一定の費用がかかります。

相続財産清算人の主な役割は、故人の財産を適切に管理し、債権者への支払いを行い、残った財産があれば国庫に帰属させることです。遺品整理もその業務の一環として行われます。清算人は中立的な立場で公平に財産を処理するため、相続人間のトラブルを避けたい場合や、誰も相続したくない複雑な事情がある場合に有効な制度です。ただし、選任には数か月かかることもあるため、賃貸物件の場合は家賃が発生し続ける点に注意が必要です。

相続放棄すれば費用を払わなくていいのか

相続放棄すれば費用を払わなくていいのか

相続放棄をすれば遺品整理の費用を支払う義務はなくなりますが、手続きには厳格なルールがあります。ここでは、相続放棄の手続き方法と期限、注意すべき行為、そして相続放棄後も残る責任について解説します。

相続放棄の手続き方法と期限

相続放棄を行うと、故人の財産を一切相続しないことになるため、遺品整理の費用を支払う法的な義務もなくなります。しかし、相続放棄には厳格な手続きと期限が定められているため、正しく理解しておくことが重要です。

相続放棄の手続きは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述しなければなりません。この3か月の期間は「熟慮期間」と呼ばれ、相続するかどうかを判断するための期間です。「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、一般的には故人が亡くなったことを知り、かつ自分が相続人になったことを知った時を指します。

手続きには、相続放棄申述書に加えて、故人の戸籍謄本や住民票除票、申述人の戸籍謄本などの書類を添付する必要があります。書類を揃えて家庭裁判所に提出すれば、後日裁判所から照会書が届き、相続放棄の意思を確認されます。回答書を返送し、問題がなければ相続放棄が受理され、正式に相続放棄が成立します。

相続放棄ができなくなる行為

相続放棄を考えている場合、熟慮期間内であっても特定の行為をしてしまうと「単純承認」とみなされ、相続放棄ができなくなります。民法第921条では、相続財産の全部または一部を処分した場合は単純承認したものとみなすと規定されています。

具体的には、故人の預貯金を引き出して使用したり、不動産や車を売却したり、遺品を処分したりする行為が該当します。特に注意すべきは、遺品整理業者に依頼して費用を支払う行為です。これは「相続する意思がある」と判断される可能性が高く、後から相続放棄が認められなくなるリスクがあります。故人の財産から費用を支払うことはもちろん、自分の財産から立て替えて支払うことも危険です。

ただし、故人の財産を保存するための行為や、葬儀費用を故人の財産から支払うなど、社会通念上認められる範囲の行為は例外として認められることがあります。しかし、その判断は微妙な場合も多いため、相続放棄を考えているのであれば、遺品に一切手を付けない方が安全です。

相続放棄後も残る管理責任

相続放棄をすれば遺品整理の費用を支払う義務はなくなりますが、完全に責任から解放されるわけではありません。民法第940条では、相続放棄をした者であっても、次順位の相続人が相続財産の管理を始めることができるまでは、自己の財産におけるのと同一の注意をもって財産を管理しなければならないと規定されています。

これは、相続放棄をしても、次の相続人が現れるまでの間は最低限の管理義務が残ることを意味します。たとえば、故人が住んでいた家を放置して建物が倒壊したり、水道管が破裂して近隣に迷惑をかけたりした場合は、相続放棄をした人が責任を問われる可能性があります。

特に、相続人全員が相続放棄をした場合は、相続財産清算人が選任されるまで誰が管理するのかが問題になります。最後に相続放棄をした人が管理義務を負う可能性が高いため、全員で相続放棄を考えている場合は、速やかに家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てることが重要です。

遺品整理にかかる費用の相場

遺品整理にかかる費用の相場

遺品整理を業者に依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。ここでは、間取り別の料金相場、費用が変動する要因、そして見積もりを依頼する際のポイントについて解説します。

間取り別の料金相場

遺品整理の費用は、部屋の広さや荷物の量によって大きく変動します。専門会社に依頼した場合の費用は、主に作業員の人数と作業時間によって決まるため、間取りが広くなるほど高額になる傾向があります。一般的な間取り別の費用相場は以下の通りです。

  • 1R・1K:35,000円~
  • 1LDK:80,000円~
  • 2LDK:140,000円~
  • 3LDK:180,000円~
  • 4LDK以上:220,000円~

これらの金額はあくまで基本的な作業費用の目安であり、実際の費用は物件の状況や遺品の量によって上下します。

特に注意すべきは、この相場はごみや荷物の量が一般的な場合を想定しているという点です。ごみ屋敷状態だったり、大型家具や家電が多数あったりする場合は、相場よりも高額になることを覚悟しておく必要があります。逆に、事前に自分たちである程度片付けておけば、相場よりも安く抑えられる可能性もあります。

費用が変動する要因

遺品整理の費用は間取りだけでなく、さまざまな要因によって変動します。最も大きな要因は荷物の量です。同じ間取りでも、故人が物を多く持っていた場合は作業時間が長くなり、処分費用も増えるため高額になります。

建物の立地条件も費用に影響します。エレベーターのない集合住宅の上階や、トラックを近くに停められない狭い道路沿いの物件では、搬出作業に手間がかかるため追加料金が発生することがあります。また、エアコンの取り外しやハウスクリーニング、遺品の供養などのオプションサービスを依頼すると、基本料金に上乗せされます。

作業の時期も費用に関わる要素です。年度末や引っ越しシーズンは業者の繁忙期にあたるため、通常よりも料金が高めに設定されることがあります。急ぎでない場合は、閑散期に依頼することで費用を抑えられる可能性があります。

見積もりを依頼する際のポイント

遺品整理業者に見積もりを依頼する際は、必ず複数の業者から相見積もりを取ることをおすすめします。最低でも3社に現地訪問してもらい、実際の物件を見たうえで詳細な見積もりを出してもらいましょう。電話やメールだけの簡易見積もりでは、実際の作業時に追加料金が発生するリスクがあります。

見積書の内容は細かく確認することが重要です。作業内容が「遺品整理一式」とまとめて記載されている場合は、具体的にどのような作業が含まれているのか必ず確認しましょう。不明瞭な項目があれば、遠慮せずに質問することが大切です。また、追加料金が発生する条件についても事前に明確にしておくと、後々のトラブルを防げます。

業者を選ぶ際は、金額だけでなく、遺品整理士の資格を持っているか、古物商許可を取得しているか、損害賠償保険に加入しているかなども確認しましょう。信頼できる業者を選ぶことで、安心して遺品整理を任せることができます。

遺品整理の費用を抑える4つの方法

遺品整理の費用を抑える4つの方法

遺品整理の費用は決して安くありませんが、工夫次第で大幅に節約できる可能性があります。以下の4つの方法を活用することで、無理なく費用を抑えることができます。

  • できる範囲を自分で整理する
  • 買取サービスを活用する
  • 複数業者から相見積もりを取る
  • 作業項目を精査して不要な項目を削る

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

できる範囲を自分で整理する

遺品整理の費用で大きな割合を占めるのが作業員の人件費です。作業に時間がかかるほど人件費は高額になるため、専門会社に依頼する前に自分たちでできる範囲の作業を進めておくことで費用を大幅に抑えられます。

まずは、明らかにごみとわかるものを自治体の収集日に合わせて処分しましょう。可燃ごみや資源ごみに分別するだけでも、専門会社が処理する荷物の量を減らせます。衣類や本、食器など、比較的軽いものから始めれば、無理なく作業を進められるでしょう。また、不用品を自治体のごみ収集で処分すれば、業者に依頼するよりもはるかに安く済みます。

ただし、無理は禁物です。重い家具や家電の運搬、高所からの荷物の搬出などは怪我のリスクがあるため、専門会社に任せた方が安全です。自分たちでできる範囲の作業を事前に済ませておくことで、業者の作業時間を短縮し、結果的に数万円単位で費用を節約できる可能性があります。

買取サービスを活用する

遺品の中には、骨董品やブランド品、まだ新しい家電、貴金属など、価値のある物品が含まれている場合があります。これらを買取サービスに出すことで、遺品整理の費用を相殺できる可能性があります。

多くの遺品整理業者は買取サービスも提供しており、価値のある物品を査定して買取金額を遺品整理の料金から差し引いてくれます。不用品として処分するはずだった物が売れれば、結果的に遺品整理の総費用を安く抑えることにつながります。古い着物や食器、家具なども、思わぬ価値がある場合があるため、捨てる前に査定を依頼してみる価値があります。

ただし、遺品買取を依頼する際は、業者が「古物商許可」を保有しているかどうか必ず確認してください。古物商許可がない業者は法的に買取を行えないため、トラブルの原因となります。また、買取価格が適正かどうか判断するために、複数の業者から査定を受けることをおすすめします。

複数業者から相見積もりを取る

遺品整理会社を選ぶ際は、最初に見つけた1社で決めるのではなく、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。料金体系やサービス内容は業者によって大きく異なるため、相見積もりを取ることで適正な相場価格を把握できます。

最低でも3社に連絡し、実際に現地を訪問してもらったうえで詳細な見積もりを出してもらうことが重要です。電話だけの簡易見積もりでは、実際の作業時に「思ったより荷物が多かった」などの理由で追加料金を請求されるリスクがあります。現地見積もりであれば、正確な金額を把握でき、後から追加料金が発生する心配も少なくなります。

相見積もりを取ることで、不当に高い料金を請求する悪質な業者を避けられるだけでなく、価格交渉の材料にもなります。「他社ではこの金額でした」と伝えることで、値引きに応じてくれる業者もあります。手間はかかりますが、数万円から数十万円の節約につながる可能性があるため、必ず相見積もりを取るようにしましょう。

作業項目を精査して不要な項目を削る

遺品整理会社の見積もりには、基本作業に加えてさまざまなオプションサービスが含まれていることがあります。これらのオプションは便利ですが、本当に必要かどうかを精査することで費用を抑えられます。

見積書を受け取ったら、作業内容を一つひとつ確認しましょう。エアコンの取り外し、ハウスクリーニング、遺品の供養、消臭・消毒作業など、オプションサービスは業者によって基本料金に含まれる場合と別料金になる場合があります。どの作業が必要で、どの作業は自分たちでできるのか、相続人同士で話し合って判断することが重要です。

たとえば、簡単な清掃は自分たちで行い、ハウスクリーニングのオプションを削る、遺品の供養は自分たちで別途お寺に依頼するなど、工夫次第で費用を削減できます。ただし、必要な作業まで削ってしまうと本末転倒です。業者からよく説明を受け、費用対効果を踏まえたうえで判断しましょう。

親族間のトラブルを防ぐためのポイント

親族間のトラブルを防ぐためのポイント

遺品整理では兄弟姉妹など複数の相続人が関わる場合、費用負担や作業分担をめぐって意見が食い違い、関係が悪化するケースも少なくありません。親族間での無用なトラブルを未然に防ぐために、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 費用分担について事前に話し合う
  • 遺品整理の時期を相談して決める
  • 形見分けや重要品の扱いを明確にする

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

費用分担について事前に話し合う

遺品整理で最もトラブルになりやすいのが、費用負担をめぐる問題です。誰がどのくらいの割合で費用を負担するのかを明確にしておかないと、後々大きな揉め事に発展しかねません。遺品整理を始める前に、相続人全員で集まって費用分担について話し合う時間を設けましょう。

話し合いでは、法定相続分に応じて分担するのか、均等に割るのか、特定の誰かが全額負担するのかを決めます。相続人それぞれの経済状況や故人との関わりの深さなども考慮しながら、全員が納得できる方法を見つけることが大切です。口頭での約束だけでは、後になって「言った」「言わない」の水掛け論になるリスクがあります。

話し合いで決めた内容は、必ず書面やメールなど、後から見返せる形で記録に残しておきましょう。簡単なメモ書きでも構いませんので、日付と参加者の名前、決定した費用分担の方法を明記しておくことで、後々のトラブルを防げます。また、誰かが費用を立て替えた場合も、いつ、いくら支払ったのかを明確に記録し、領収書を保管しておくことが重要です。

遺品整理の時期を相談して決める

遺品整理を始める時期についても、相続人同士で事前に相談して決めることが大切です。故人が亡くなった直後は気持ちの整理がつかず、遺品に触れることすら辛いという人もいます。一方で、賃貸物件の場合は家賃が発生し続けるため、早めに片付けたいという意見もあるでしょう。

相続人の中には遠方に住んでいて頻繁に来られない人や、仕事の都合で時間が取れない人もいます。全員が参加できる日程を調整するのは難しいかもしれませんが、できる限り多くの相続人が立ち会える日を選ぶことで、後から「勝手に進められた」という不満を防げます。

もし全員が集まれない場合は、代表者を決めて進めることもできますが、その場合は他の相続人から明確な同意を得ておくことが必須です。遺品整理の進捗状況を写真やメールで定期的に共有することで、参加できない相続人も状況を把握でき、信頼関係を維持できます。遺品整理は故人との最後の別れの機会でもあるため、時期については焦らず、相続人全員の気持ちに配慮しながら決めましょう。

形見分けや重要品の扱いを明確にする

遺品整理において、形見分けや重要な物品の扱いは特に慎重に進める必要があります。故人の思い出が詰まった品物や、価値のある物品を誰かが独断で処分したり持ち帰ったりすると、深刻なトラブルに発展します。

形見分けの対象となりそうな物品は、処分する前に必ず相続人全員に確認を取りましょう。写真や手紙、故人が大切にしていたコレクション、アクセサリーなどは、思い出の価値が人それぞれ異なります。ある人にとっては不要に見えても、別の人にとっては大切な思い出の品かもしれません。判断に迷う物品があれば、すぐに処分せず保留にして、後日あらためて相続人同士で話し合って決めることをおすすめします。

また、契約書や遺言書、権利証、保険証券などの重要書類は絶対に処分してはいけません。これらは相続手続きに必要な書類であり、誤って捨ててしまうと大きな問題になります。遺品整理を始める前に、重要書類の保管場所を確認し、別の場所に移しておくと安心です。貴重品や重要書類の扱いについても相続人全員で確認し合い、誰がどのように管理するのかを明確にしておくことで、疑心暗鬼を防ぎ、円満に遺品整理を進められます。

まとめ|遺品整理の費用は誰が払うかを明確にして円満に進めよう

まとめ|遺品整理の費用は誰が払うかを明確にして円満に進めよう

遺品整理の費用は、原則として相続人が負担することになります。故人の財産から支払うことも可能ですが、相続人全員の同意を得ることが必須です。相続人が複数いる場合は、法定相続分に応じて分担するのが一般的ですが、話し合いによって異なる割合で負担することもできます。

相続放棄をすれば費用を支払う義務はなくなりますが、手続きには厳格な期限があり、遺品に手を付けてしまうと相続放棄ができなくなる点に注意が必要です。また、相続放棄後も一定の管理責任が残ることを理解しておきましょう。

遺品整理の費用相場は間取りや荷物の量によって変動しますが、自分たちでできる範囲を整理したり、買取サービスを活用したり、複数業者から相見積もりを取ったりすることで費用を抑えられます。親族間のトラブルを防ぐためには、費用分担や作業時期、形見分けについて事前にしっかり話し合い、決定内容を記録に残しておくことが重要です。

遺品整理は故人との最後の別れの機会でもあります。費用負担について明確なルールを決め、相続人全員が納得できる形で進めることで、円満に遺品整理を完了させることができるでしょう。

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